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2007年12月12日 (水)

陰翳礼賛

いんえい - らいさん、と読みますが、文豪・谷崎潤一郎により昭和初期に書かれたエッセイの題名です。

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十数年前に、学校の授業で紹介されて買った本で、しかし当時はなかなか頭に入らず放っておいたのですが、久々に読み返してみたらとても面白く、ここ数日、暇を見て読んでいます。

要点をまとめると、日本(人)には、ほのかな明かりと陰を作り出す「暗さ」が大切で、また似合っている、といったような内容です。

いろいろな角度から「陰翳礼賛」の理由付けをしているのですが、その表現が愉快で、つい読み入ってしまいます。

日本家屋で、夏の夜は明かりを消して蚊帳(かや)を吊り、その中でゴロゴロするのが一番だとか、人形浄瑠璃は昔、ロウソクやカンテラで上演しており、陰のおかげで人形の硬い線が消え、より人間らしく見えた、などなど他に少しひねくれたような言い方もあって、楽しいのです。

元来、日本人は現状を受け入れる力があり、貧しいなら貧しいなり、貧しいと電気をたくさんつけて明るくすることはできないけれど暗いなりの楽しみ方を心得ていて、それにより日本独自の文化が育まれてきたのだとも。

建築的な表現も多く、とても参考になります。

強いて言えば、旧漢字が多いので辞書を引きながら読むのが面倒ですが、それもまた含みのある言葉だったりして楽しめました。

 *****

日本では、もともと陰を楽しむような文化があり、それを支える一つが建物であろうと思います。

部屋の隅々まで明るくするのは清潔感があって健康的ですが、時には境目のハッキリしないような薄暗さもまた、想像力を掻き立てられ、心を豊にするんですね。

私も、暗くもなく、しかし眩し過ぎない、そんな住宅に、やはり憧れます。

 *****

単行本の中には「陰翳礼賛」のほかにも数編のエッセイが入っており、その中の「客ぎらい」というのに、猫の描写があって、これまた愉快です。

「客ぎらい」という題名からして、つい笑ってしまいますが、これはまた別の日に。

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コメント

なぁるほど!
>日本人は現状を受け入れる力があり、貧しいなら貧しいなり、貧しいと電気をたくさんつけて明るくすることはできないけれど暗いなりの楽しみ方を心得ていて、それにより日本独自の文化が育まれてきたのだとも

そうですね~明るく燦燦ろしたお日様もイイですが、薄暗い部屋に灯したランプのほの明るさも好きですよ。
ちょっと贅沢な灯りも~リッチな気分にさせてくれるアイテムかも。
しかし、寒い冬は・・寒いなりに・・・とは行かないのが現代人の甘さなのでしょうか~我慢できませんわ。あぁ~今年の冬は寒そう~~ブルブル

投稿: きりちゃん | 2007年12月15日 (土) 14時14分

きりたんぽさん
この本の中には、
「もう一度逆戻りをしてやり直すわけにはいかことは分かりきっている」
と言うくだりがありますが、昭和初期ですでにそう思っていたのですから、もし谷崎潤一郎が現在の日本を見たら、なんて言うか想像するのも楽しいですね。

寒さに震えるわけにはいきませんが、情緒を楽しもう、ということに尽きるでしょうか。

投稿: やまじ | 2007年12月15日 (土) 16時42分

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